銀行口座の相続手続き|凍結後の流れと必要書類を3パターンで解説
こんにちは!
相続業務に特化した、狛江の行政書士・土橋(つちはし)です。
今回は、銀行預金口座の凍結と、相続手続きによる解約・払戻しについて解説します。
金融機関に被相続人(亡くなった方)が亡くなったことを連絡すると、その方の銀行口座は凍結されます。口座が凍結されると、原則として預金の引き出しや口座振替などができなくなるため相続手続きが必要になります。
葬儀費用や当面の生活費など、大きなお金が必要になり、故人の口座にある預金を使いたい場面もあるかもしれません。
しかし、凍結された口座から預金を払い戻すには、金融機関所定の相続手続きを進める必要があります。
「どうすればお金を引き出せるのか・・」
「手続きはどれくらい大変なのか・・」
と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、銀行預金の相続手続きについて、よくある3つのパターンに分けて分かりやすく解説します。
銀行預金口座の相続手続きとは?
銀行預金の相続手続きでは、原則として「その預金を誰が相続するのか」を確認できる書類が必要になります。
代表的なものは、次の2つです。
・遺言書
・遺産分割協議書
参考:狛江の行政書士が解説|相続財産の分け方は「遺言」か「話し合い」
ただし、遺言書や遺産分割協議書がない場合でも、相続人全員が協力できるケースでは、金融機関所定の書類に相続人全員が署名・押印することで手続きを進められることがあります。
銀行によって必要書類や運用は異なりますが、大きく分けると次の3つのパターンで考えると分かりやすいです。
① 遺言書がある場合
② 遺産分割協議書がある場合
③ 遺言書も遺産分割協議書もない場合
それぞれ確認していきましょう。
① 遺言書がある場合
遺言書で預金を取得する人が指定されている場合は、その遺言書に基づいて銀行預金の相続手続きを進めます。
一般的に必要となる書類は、次のとおりです。
| ・相続届出書(各金融機関の専用フォーマット) ・遺言書 ・自筆証書遺言の場合は、検認済証明書または遺言書情報証明書 ・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本等 ・預金を取得する相続人の戸籍謄本等 ・預金を取得する相続人の印鑑証明書 ・被相続人の通帳・キャッシュカード ・遺言執行者がいる場合は、遺言執行者に関する確認書類 |
遺言書がある場合の大きなメリットは、遺産分割協議を経ずに手続きを進められる可能性があることです。
相続人同士で意見が合わない場合や、全員から実印・印鑑証明書を集めることが難しい場合でも、遺言書の内容に従って手続きを進められるケースがあります。
ただし、遺言書の種類や内容、遺言執行者の有無によって必要書類は変わります。
特に自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認が必要になることがありますので、事前に金融機関へ確認しておくと安心です。
② 遺産分割協議書がある場合
遺言書がない場合でも、相続人全員で「誰がどの財産を相続するか」を話し合い、その内容を遺産分割協議書にまとめている場合は、その協議書に基づいて手続きを進めます。
一般的に必要となる書類は、次のとおりです。
| ・相続届出書(各金融機関の専用フォーマット) ・遺産分割協議書 ・被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍一式 ・相続人全員の現在戸籍 or 法定相続情報一覧図の写し ・法定相続人全員の印鑑証明書 ・被相続人の通帳・キャッシュカード |
なお、法定相続情報一覧図の写しを提出する場合は、戸籍謄本の束の提出を省略できる金融機関も多くあります。
参考:戸籍の束が紙1枚に!法定相続情報一覧図のメリットと作り方
遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付するのが一般的です。
銀行側は、その協議書の内容を確認して預金を誰に払い戻すかを判断します。
③ 遺言書も遺産分割協議書もない場合
遺言書も遺産分割協議書もない場合でも、相続人全員が協力できるケースでは金融機関所定の相続届出書や代表相続人指定届などに署名・押印することで、手続きを進められることがあります。
一般的に必要となる書類は、次のとおりです。
| ・相続届出書(各金融機関の専用フォーマット) ・被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍一式 ・相続人全員の現在戸籍 ・法定相続情報一覧図の写し ・法定相続人全員の印鑑証明書 ・被相続人の通帳・キャッシュカード |
この場合、相続人全員が「誰を代表者として預金を受け取るのか」「払い戻された預金をどのように分けるのか」について合意していることが前提になります。
銀行所定の書類に相続人全員の署名・実印での押印が求められることが多いため、相続人のうち一人でも協力が得られない場合は、手続きが進まないことがあります。
そのような場合は、家庭裁判所での遺産分割調停などを検討する必要があります。
※遺産分割調停については、こちらの記事もご確認ください。
参考:【狛江の相続】遺産分割がまとまらない!「争族」になった場合の手続きと流れ
遺産分割協議が長期化しそうな場合
遺産分割協議が長期化しそうな場合でも、相続人全員が同意している場合には、いったん代表相続人の口座へ預金を払い戻し、その後、協議内容に従って各相続人へ分配する方法が取られることがあります。
ただし、この方法は相続人全員の同意が前提です。
相続人間で意見が対立している場合や、払い戻し後の分配に不安がある場合は安易に進めず、専門家に相談しながら対応することをおすすめします。
相続税申告がある場合の注意点
相続税の申告が必要なケースでは、相続開始日時点の預金残高を確認するため金融機関から残高証明書を取得することがあります。
また、生前贈与や使途不明金の確認のために過去の入出金明細を取得することもあります。
これらの書類は、相続人の一人から請求できる場合がありますが、金融機関によって必要書類や取扱いが異なります。
また、相続人の立場で残高証明書や入出金明細を請求した時点で、金融機関が死亡の事実を把握し、口座が凍結されることがあります。
相続税申告が見込まれる場合は、税理士などとも連携しながら、早めに必要書類を確認しておくと安心です。
まとめ
今回は、銀行預金口座の凍結と、相続手続きによる解約・払戻しについて解説しました。
銀行預金の相続手続きは、
・遺言書がある場合
・遺産分割協議書がある場合
・遺言書も遺産分割協議書もない場合
で、必要書類や進め方が変わります。
相続人全員が協力できる場合は比較的スムーズに進められることもありますが、相続人間で意見が合わない場合や必要書類が揃わない場合は預金の払い戻しまでに時間がかかることがあります。
そもそも故人の口座がわからない場合は、こちらの記事もご覧ください。
参考:故人の預金口座が分からない!マイナンバーを使った一括照会制度
参考:故人のネット銀行が分からない!相続での探し方とパスワード問題
相続税申告が必要なケースでは、残高証明書や入出金明細の取得も必要になることがある点もご注意ください。
銀行預金の相続手続きは、書類の準備や相続人間の調整など、想像以上に手間がかかることがあります。
「平日に銀行へ行く時間が取れない」
「戸籍収集や書類作成を任せたい」
といった場合は、専門家に依頼することでスムーズに進められることもあります。
当事務所では、戸籍収集から金融機関の手続きまで相続手続き全体をサポートしています。
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