遺産分割は焦って決めない!財産調査の重要性とやり直しのリスク
こんにちは!相続に特化した狛江の行政書士の土橋(つちはし)です。
今回は「遺産の分割方法は焦らずに決めましょう」というテーマでお話しいたしますね。
遺産の分け方は、大きく分けて「遺言書通りにする」か「相続人全員で話し合って決める(遺産分割協議)」のいずれかになります。
参考:狛江の行政書士が解説|相続財産の分け方は「遺言」か「話し合い」
相続人全員が集まる機会は実はそう多くないため「お葬式の後などに、皆がいる今のうちに決めてしまいたい」というお気持ちが出てくるかもしれません。
しかし、個人的にはあまり早く決めすぎても良くないと考えています。
本記事ではその理由と、大体どれくらいの時期までに決めればいいのかについて解説します。
遺産分割協議を焦ってはいけない理由
最大の理由は、「プラスの遺産とマイナスの遺産を正確に把握することがとても重要だから」です。
相続は、預貯金などのプラスの遺産だけでなく、借金などのマイナスの遺産も対象になります。そのトータルバランスを見て「相続する・しない」を判断しなければなりません。
そのためには財産調査が不可欠であり、一定の時間を設けることが望ましいと言えます。
【見落としがちな遺産の例】
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プラスの遺産: 把握していなかった銀行口座、骨董品、死亡後3ヶ月程度で払い戻される高額療養費の還付金など
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マイナスの遺産: 病院や介護施設への清算金、葬儀費用、お墓の管理費など
このプラスとマイナスを明確に把握しないまま遺産分割協議をしてしまうと、正しい判断ができない可能性があります。
もし後から追加で遺産が発見される度に、相続人全員で協議をやり直さなければなりません。新たに見つかった遺産が原因で「やっぱりあの分け方は納得いかない」と意思決定が変わってしまえば、精神的にも辛いですし、それまでの時間も無駄になってしまいますよね。
だからこそ、焦って遺産分割協議を行ってはいけないのです。
では、まずは何をするべきか?
遺産分割協議を焦ってはいけないことはご理解いただけたかと思います。
では何から手をつけるべきかと言うと「プラスの遺産とマイナスの遺産の項目と評価額が書かれた一覧表(財産目録)を作成すること」です。
一覧表(財産目録)を作成するための期間をしっかり設けることが重要になります。

タイミングとしては、相続人全員が集まる四十九日法要の際に、「まずはプラスとマイナスの遺産の一覧表を作成しましょう」と全員の認識を揃えるところからスタートすれば、基本的には問題ないでしょう。
皆さんで協力して調査を進めていくことが大切です。
遺産分割協議後に新たな遺産が見つかったら?
焦らずじっくりと一覧表を作成して遺産分割協議を進めたとしても、結果的に後から新たな遺産が見つかることは実務上よくあります。
その場合にはどうすればいいでしょうか。できる対策は次の通りです。
それは事前に遺産分割協議書に記載しておくことです。
新たな遺産が見つかったケースを想定し、あらかじめ協議書にルールを定めておきます。 例えば、「新たに発見された遺産については、長男〇〇が取得する」や「発見された場合は、別途相続人間で協議して決める」といった文言を記載しておく方法です。
※注意
もちろん、特定の遺産の存在を把握していたのにわざと隠蔽し、誰かが得をするような目的で記載した場合は無効になる可能性があります。無効になれば、一から遺産分割協議のやり直しです。
まとめと注意点
遺産分割協議を焦って進めてはいけない理由について解説しました。
遺産の内容を正しく把握するために一定の期間を設け、プラスとマイナスの遺産を比べて「相続をしたほうが良いのか悪いのか」という判断を慎重に行いましょう。協議後に見つかった遺産があれば、再度分割協議をする手間が発生してしまうからです。
そして相続税が発生するようなケースではさらに注意が必要です。
民法上は、遺産分割協議のやり直し自体は問題ありません。しかし、相続税が発生する場合、一度申告を終えた後に協議をやり直して財産を動かすと、税務署から「これは相続ではなく、相続人同士の『贈与』である」と判断されてしまうのです。 つまり相続税を払った上に、さらに贈与税まで支払わなければならないという恐ろしい事態になりかねません。
相続税が発生する相続の場合、申告期限は「お亡くなりになった日から10ヶ月」です。これが短いか長いかは遺産の内容次第ですが、焦って遺産分割協議を進めてしまうことのデメリットと恐ろしさを、少しでもご認識いただけたのであれば幸いです。
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